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成底ゆう子(2)

2008年07月03日

――森繁久彌さんとの接点というのは?
「昨年の2月に森繁さんの“最後の作品”ということで、『霜夜狸しもよだぬき』という DVD (注1)がリリースされたんですが、その制作の際に、挿入歌として私の「里景色」という曲を使っていただいたのが最初の縁でした。なんでも、 DVD の制作のスタッフの方がたまたま私のライブを見てくれていたらしく、興味を持ってくださって声をかけてくれたようです」
(注1=特に家族間で続発する陰惨な事件に心を痛める森繁が、親子の情愛をテーマに、一人暮らしの老人と1匹の狸の不思議な交流を描いた、作家・宇野信夫原作の人情話を一人語りした作品)

――森繁さん自身にも曲を気に入ってもらえたということですよね。
「ありがたいことです。自分以外の誰かのために曲を書き下ろすのはこの時が初めての経験だったので、かなり時間がかかってしまって締めきりも過ぎてしまったんですが、気に入ってもらえてホッとしました」

成底ゆう子
『この地球( HOSHI )に生まれて』
NECP-1004
2,000 (税込み)
発売中

――その後、アルバム『この地球( HOSHI )に~』の制作に入るわけですが、成底さん自身の中で何かテーマはありましたか?
「とにかく幅広い世代の方々に聴いてもらえるアルバムにしたかった。そのために心掛けたのは、童謡や歌謡風の、優しくそして懐かしく感じてもらえるメロディー作り。でも、一番苦労したのは言葉選びかな。どういうことばを選べば伝えたいことを分かりやすく伝えられるのかを考えて、何度も修正しましたから。そのうえで、“人との絆”“親子愛”“友情”といった広義の“愛”を表現してみました。今、世の中で起こっているいまわしい事件の大半は、そうした絆(きずな)や愛情が欠落していることが原因のような気がするし、今という時代を生きていくうえではとても大切なことだと思うので。本来ならあえて意識するようなことでもない、当たり前のことなんですけどね」

――この作品で描いている、沖縄のエッセンスを漂わせた日本の心的世界とノスタルジーは、成底さんの澄みきった歌声によって一層鮮明に色付けされたように感じます。この世界観こそ自分のオリジナリティーの礎だという意識はあります?
「そこまで意識はしていないですね。確かに懐かしさ、優しさ、温かさ……は、大切にしたい方向性であり要素ではありますけど、沖縄出身だからこうじゃなきゃいけないとか、デビュー・アルバムでこういうものを作ったからこの色を守らなきゃいけないとかは思っていません。今はジャンルにとらわれずに、いろんな可能性を引き出しながら、どこまで自分なりの色を醸せるか、というところでの挑戦は続けていきたいと思っています」

――そういう成底さんを歌に向かわせている一番大きな思いは何ですか?
「何モノにも替え難いほど歌が好きだという思いでしょうか。私にとって歌は特別なものではなく、自分の周りに当たり前に存在するものだから、生活そのものというか、呼吸することと同じなんですね」

――音楽が血の中に溶けて流れているような……?
「そうそう。石垣島で育った人はみんなそうなんじゃないか、と思えるくらい。実は石垣島って、沖縄とは全然違った空気が流れているんですよ。基本的にのどかだし、島中至る所に音楽が流れているし、しかもその歌を支えに暮らしてもいる。街で何か口ずさんでいると、たまたま通りかかった人が一緒になって歌い出すような風土。だから私も、いろんな人たちの支えになるような歌を残せたらなって思っています。それが森繁さんからの期待に対する恩返しにもなると思うので」

(プロフィール)
成底ゆう子(なりそこゆうこ): 12 月 11 日、沖縄県石垣島宮良生まれ。民謡歌手の親戚の影響で、幼少のころから民謡に親しむ。クラシック好きの父の影響からピアノを習い始め、小学校3年生の時には地元の合唱団に入団。高校2年、3年の時に出場した全国音楽コンクール県大会の「声楽部門」では2年連続で金賞を受賞。武蔵野音楽大学入学と同時に上京。本格的な声楽を学んだ後、ソロ・アーティストとして活動を開始。2006 年に発表した代表曲「秋色は満月の恋」は、某インディーズ・ミュージック配信サイトのランキングで1年以上にわたりトップ 10 を堅守(現在もなお上位にランクイン)。 2007 年2月、森繁久彌作品 DVD 「霜夜狸(しもよだぬき)」の挿入歌・イメージソングに、オリジナル楽曲「里景色」が選ばれる。 2008 年3月、 “森繁久弥が 21 世紀に託した歌姫”として、アルバム『この地球(HOSHI )に生まれて』を発表。精力的な創作&ライブ活動を継続中。


成底ゆう子(1)

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