(2008年08月08日)
(2008年06月16日)
(2008年02月26日)
昨秋から注目を集め始め、今年に入って大ブレイクし、今では入手困難なプレミアスイーツと呼ばれるまでになった人気スイーツ、花畑牧場の「生キャラメル」を知っていますか?
帯広空港からほど近い花畑牧場で手作りされているこの生キャラメルは、新千歳空港の直営店をはじめ、「北海道物産展」などの百貨店催事では売り切れ続出の大ヒット商品。その生キャラメルと花畑牧場の取材で、先日、帯広(正確には河西郡)の中札内村(なかさつないむら)へ行ってきました。
花畑牧場は、実はタレントの田中義剛さんが15年前に始めた牧場で、件の生キャラメルのほかにカチョカヴァロ(モッツァレラを熟成させたヒョウタン型のチーズ)、いももち、ジャム、プリン、ソフトクリーム……など次々にヒット商品を生み出し、いまや北海道のお土産ランキングの上位を独占しようかという勢いを誇る“ブランド牧場”なのです。とはいえ、タレント活動の片手間の牧場経営ではなく、彼の場合、10代のころから牧場への夢をはせ、その夢への第一歩として北海道の酪農学園大学へ進み、資金稼ぎのために芸能活動を続けてきたと公言する、性根の座った酪農家なのです。同時に、関連産業に不祥事が続いて低迷する道内の酪農(農業)復興と後継者の育成を標榜するアグリビジネスの改革者でもあります。
そんな彼のビジネス手腕を記した著書『田中義剛の足し算経営革命』(新書)が6月中旬にソニー・マガジンズ社から刊行されます。制作には微力ながらボクも全面的にお手伝いさせていただきました(実は、彼が歌手デビューした20年ほど前、アルバムのライナーノーツもボクが執筆しており、当時の活動拠点だった北海道を何度か訪れ、夜のすすきのを一緒に徘徊したものです。それ以来のおつき合いです)。
ここには、彼が地元農家や農協等からの圧力に屈することなく、放送局、電力会社、大手菓子メーカーの不誠実な仕打ちと闘いながら酪農ビジネスを軌道に乗せるまでの足跡と、牧場のブランディング術&経営術、ヒット商品を次々に生み出す発想のすべてが記されています。億単位の借金を抱え10年以上続いた赤字経営を教訓に自ら構築した理論(“足し算の経営理論”“牛一頭で成立する酪農理論”“利益率15%理論”……など)には説得力があり、彼のバイタリティーあふれる行動力と、巨大権力や圧力にも屈しない反骨精神がにじみ出たエピソードの数々は、実に読みごたえがあります。
巷には、脱サラしてあるいは定年後に田舎暮らしを始め就農を目論む人、昨今の食の安全性への疑問やエコ&オーガニックのスピリッツの高まりから農業を就学する若者たち……が増えていると聞きます。そうした人たちにとって有益な手引書にもなりえる内容です。しかも彼は、今春から母校・酪農学園大学から特命教授を拝命し、低迷する北海道の酪農(農業)の復興・再興を目指して、(無償で)後継者の育成にも乗り出しました。今ではタレント活動以外の時間はほとんど商談に費やされるほどビジネスマンとしても大忙しの彼の知られざる一面と、生キャラメル大ヒットの舞台裏を垣間見ることのできる本書。アグリビジネスに興味がある人ならずとも楽しく読めるのではないでしょうか。

しかし生キャラメル、おいしいです。クセになります。