毎週、旬の野菜をセットにして消費者に届けているので、一年中、種をまき続けている。それはトマト・ナス・ピーマン・ナンキン・スイカなどに代表される夏野菜と、ダイコン・ハクサイ・キャベツ・ホウレンソウなどの冬野菜とに大きく分けることができる。
年によって出来不出来はあるが、今年のように暑さが長引き、夏がいつまでも居座るような気候にあっては、正直、大苦戦である。少しでも多くの種類をセットに入れようと、種まきは早め早めに行うのだが、7~8月にまいたキャベツ・ブロッコリー・カリフラワーはすでに全滅、9月初旬にまいた各種ダイコン・カブなども難しい状態である。
原因は高温による蒸れと虫害。シンクイムシ・モンシロチョウやカブラハバチの幼虫・カメムシ類・コオロギやバッタの成虫などが主な加害者で、苗を植えつけてからは葉の裏を一枚一枚裏返して卵や幼虫を退治してゆく。いつもだと気温が下がるごとに虫の相が変わり、次第に減ってゆくのだが、今年は様子が違っている。9月下旬ごろから雨が降りやすくなり、やっと秋めいてそろそろ大丈夫かなと思うたびに暑さがぶり返し、気がつけば10月に入ってしまった。
近隣の一般農家は殺虫剤を散布しているが、やはり例年より作りにくそうである。毎年、異常気象や地球温暖化を畑で実感しているが、それでもこれまでは、農作業には昔の人たちの知恵が結集された旧暦や節季がフィットすると思ってきた。しかし、地球全体の狂いが大きくなってきた昨今では、ずれが生じてきたような気がする。では、何を指標にすればよいのか……。それは、ずれてきた気候に合わせて生きるしかない、私たちの周りの生き物たちである。たとえば春ならウメ・モモ・サクラなどの花、秋は田のあぜを彩るヒガンバナ。ヒガンバナは例年なら秋のお彼岸ごろに盛りとなるが、今年は10月に入っても咲き続けている。虫害の心配をせずに畑に種をまけるようになるのは、この花の赤が消えてからになるだろう。
種々の珍しい野菜の種は高価であるにもかかわらず、無に帰す場面が多いのはつらいところだが、一方ではそのような野菜を作ろうとすること自体が、本来の自給自足から離れているのかとも感じている。気候を読み取る力と自家採種の技術をつけることが今後の課題である。