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有機農業の落とし穴(1)

2008年04月15日

 『美味しんぼ』というコミックをご存じだろうか? 「食」を縦糸に、父子の確執を横糸に描かれている物語で、最近101巻目が発売された。その背表紙のサブタイトルは「食の安全」で、昨年ベストセラーになった『食品の裏側―みんな大好きな食品添加物』の著者である安部司氏が実名で登場する。そのほかBSE問題や食品偽装問題なども扱われており、現代の日本農業についての導入となっている。
 輸入食品、特に冷凍ギョウザ事件以来、中国産食品への不信はますます高まっているが、では国産なら大丈夫かといえば、実は日本は世界有数の農薬使用大国なのである。例えば、有名産地のコシヒカリへの農薬散布回数は20回、群馬産のキャベツで26回、熊本産のトマトでは61回という衝撃的な数字が紹介されているのだ。
 ここから有機農業の話題へと移っていくのだが、日本の農産物のうち有機農産物の割合はわずか0.16%であるという。ところで、ちろりん農園は30年近く農薬・化学肥料・除草剤を一切使わずに野菜や果物を育てているが、この0.16%の中には含まれていない。なぜならこの数字は、国で指定する有機JASを取得している農家のみの割合だからである。
 最近ではこの「有機JAS認証」という言葉はよく目にするようになったが、その中身を知っている人はどれくらいいるだろう。また、昨年国会を通過した有機農業推進法については? いずれにせよ、これらの存在自体が、この日本という国がいかに国民に信用されていないかの証しにほかならないのだが、その説明は次回で。
 それにしても、国の土台となるべき農業と、生命の源である食を生産する農民を長年にわたって軽んじ続けてきた結果が、自給率39%という情けない数字に表れている。食の歪みが人の心の歪みを生む。近ごろ頻発している無差別殺傷事件や家族内殺人事件のニュースを見聞きするにつけ、そんな思いがよぎるのである。

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