もう20年も前、ふたみシーサイド公園に長さ約400メートルの人工砂浜を造ることを思いつきました。“海岸国道”378号の整備に伴って砂浜がなくなったための苦肉の策でした。しかし、砂は入れても入れても北西の季節風による荒波によって沖合いに引っ張り出され、大失敗でした。長年、漁村で暮らしている漁師さんからは「それ見たことか」と散々しかられました。
それでもあきらめず突堤を3本造り、沖合に離岸堤(編注=波を消したり波の勢いを弱めるため、海岸線と平行に造られる構造物)と潜堤(編注=波を消して海岸付近に幅広い浅瀬をつくる水面下の構造物)を造ったお陰で、何とか人工ながら美しい砂浜ができたのです。その折、真ん中に造った突堤に「恋人岬」と名前を付け、高さ4メートルのモニュメントをつくりました。どこかで聞いたような名前ながら、10年もするとすっかり定着して多くの人に知られるようになったのです。

【写真】「恋人の聖地」選定を記念して製作したモニュメント
このたびNPO法人地域活性化支援センターの呼びかけで「恋人の聖地」という全国公募があり、わが双海町も応募したところ、運良く、同じ伊予市の松山自動車道伊予灘サービスエリアとともに選ばれたのです。これを機会にシーサイド公園を活性化しようとにわか実行委員会が立ち上がりました。
イベントとモニュメントの話が持ち上がり、私はモニュメントを担当することになりました。限られた資金でできるだけ安く、しかもできるだけいいものをつくるのは容易なことではありません。ましてや全国の「恋人の聖地」に認定された地域では、立派なモニュメントが出来上がっているのです。でも、ベストワンやナンバーワンを求めるのではなく、オンリーワンにこだわって、いいモニュメントが設置されました。モニュメントはハートの形にくり抜き、カップルが入ると居ながらにしてツーショットの写真が撮れるようになっているし、反対側から写せば夕日もバッチリ入るのです。
6月29日は海水浴場の海開きの日でもあり、午後からは除幕を交えた記念セレモニーや“恋人の聖地で出逢う恋”、シーサイド公園の中心で愛を叫ぶ大声コンテスト、サンセットライブなど、恋人の聖地にふさわしいイベントが楽しく繰り広げられ、久しぶりの大にぎわいでした。
圧巻は、何といっても恋人岬の結婚式です。岬に通じる65メートルのバージンロードを進む花嫁は、人前結婚式らしく大勢のギャラリーが見守る中、突端のモニュメントの前で結婚式を行いました。この日は朝からあいにくの雨でしたが、結婚式ごろから雨もあがり、風は少しあったものの時折青空ものぞく絶好の天気となり、大きな祝福の拍手と歓声に包まれました。

【写真】(左)恋人岬のバージンロードを進む花嫁(右)恋人岬のモニュメント前での人前結婚式
恋人岬には「幸せの鐘」があります。また、15年前にモアイ像の鎮座する中庭に私が自ら植えたデイゴの木が、今は大きくなって真っ赤なデイゴの花をいっぱい咲かせ、2人の門出を祝福するようでした。

【写真】モアイ像の中庭に咲く真っ赤なデイゴの花