北の国から紅葉の便りが届くようになりましたが、四国の瀬戸内海に面したわが双海町(伊予市)では朝晩、布団が欲しいものの、まだ日中の暑さが20度を超える日もあって、秋とはいいながら極早生ミカンや栗の実を食べる時に「ああ秋だ」と実感する程度なのです。
先週、人間牧場へ今年最後の草刈りに出かけました。前回刈り残した部分が5分の1ほどあったのですが、その部分は草丈も伸びて硬く、これまで使い古した草刈り機の刃は切れ味が悪く、どうしたものか思案した揚げ句、新しい刃に取り換えて作業をしました。現金なもので新しいチップソーの刃は切れ味抜群で、作業がはかどり、これまで2日ぐらいで刈っていたのを1日で済ませたのです。今さらながら作業効率は道具の良しあしで決まることを思い知らされました。
今時の草刈りは大きく分けて3つの効果があります。1つは、蛾(ガ)の幼虫である尺取り虫のような“ハズムシ”の発生を阻止できます。このころになるとハズムシがハズの葉を食べるべく大量発生するのです。2つ目は、“泥棒草”という草の種が作業服や手袋にやたらと付着して厄介なのですが、このころがちょうど結実期なので、結実寸前に刈り取れるためその後の農作業が楽なのです。3つ目は、今回は1年納めの草刈りで、雑草は晩秋から早春にかけて休眠期に入るため、来年の3月まで草を刈らなくて済むのです。
草刈りの作業は20度以上の外気温なのでたくさん汗をかきましたが、周りには秋の七草といわれるススキの穂も出そろい、クズも紫色の花を咲かせています。草刈り機で足元を刈り払っていくと、急に草むらからきれいなキジが地上すれすれに飛び立ちました。また草の中からそれは見事なキノコがニョッキリ顔を出しました。私たちの地方では山に入ってキノコを採る風習がなくキノコの名前には疎いものの、その姿形からして毒キノコのようですが、草刈り機を止めて見とれてしまい、その雄姿をデジカメに収めました。

【写真】足元の草むらで見つけた見事なキノコ
人間牧場には防風林に使っていた名残の杉の木が大きくなっていますが、その傍らで私たちが子どものころから「チチモモ」と呼んでいたイチジクの原種のような木の実を見つけました。この木の葉っぱは昔わが家でヤギを飼っていたころ、乳がよく出るヤギの餌としてタンポポとともによくヤギに食べさせたものです。4~10個摘んで食べてみましたが、イチジクとそっくりで、なかなか美味でした。

【写真】子どものころに食べた懐かしいチチモモの実
隣の柿の木はたくさんの実をつけていよいよ食べごろのようですが、残念ながらその柿は他人の物で食べることはできません。カラスは目ざとく見つけ、その実を毎日のように食べていますが、農家の方も収穫して出荷するでもなく放置していて、もったいないといつも思っています。その木やヒサカキという木には、カラスウリの実がすっかりオレンジ色に色づいて、見事に秋を演出しているのです。

【写真】ヒサカキの木に巻きついて赤く色づいたカラスウリ
私たちは日ごろの忙しさや目まぐるしい社会の変化に翻弄(ほんろう)されて、ややもすると季節を感じぬまま日々を過ごしていますが、こんな小さな秋を足元や身の回りで見つけ、季節の移ろいを感じて生きるようなゆとりを持ちたいものです。