11月に入ると、全国各地の友人から、きれいな紅葉をあしらった絵はがきが届くようになりました。立冬が過ぎると、北の国からは早くも初雪の便りがちらほら聞こえ、いよいよこれから寒い季節がやって来ることを肌で感じるのです。
しかし、南国とまではいかなくても結構暖かい四国・愛媛の海沿いに住んでいると紅葉はこれからで、特にハゼの紅葉を楽しみにしているのです。
先日、旅先の長野県で目の覚めるような紅葉を見ましたので紹介しておきます。
先週の8日と9日の2日間、名古屋を出て特急「ワイドビューしなの」に乗り、中央本線を木曾川沿いに上って中津川を過ぎると、車窓の両側いっぱいに目の覚めるような紅葉が見えてくるのです。私は昨年も11月1日、2日の両日、この光景を見ていたので、今回も楽しみにしていたのです。
まず最初に上松(あげまつ)辺りに天下の景勝地「寝覚(ねざめ)の床(とこ)」がありますが、それは見応えのある光景が列車の中からも見えました。私の講演まで時間があるので車でその渓谷を見に行きましたが、車窓から見るのとは違って間近に見る渓谷美はど迫力でした。

【写真】天下の景勝地「寝覚の床」
この日は折からの寒波で、遠望できる南アルプスの山々には冠雪が見られ、特に木曾の開田(かいだ)の馬牧場から見える御嶽山(おんたけさん)は、1本の紅葉した大木、すそ野に植えられたブルーベリーの紅葉が冠雪と見事にマッチして目を奪われました。

【写真】冠雪した木曾のシンボル・御嶽山
私が降り立った木曾福島は日本四大関所に数えられる古い歴史を持った地域ですが、その周辺には馬篭(まごめ)や妻籠(つまご)、それに奈良井(ならい)など、全国に名だたる宿場町が点在しています。
今回は奈良井の宿を見せてもらいました。宿場町は全て整備が行き届いていて、江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気でした。ふるさと創生一億円を使って造ったという木造の大橋も、錦帯橋(きんたいきょう)には及ばないものの周囲の紅葉も見ごろでした。この川は峠を越えているため、木曾川ではなく、日本海側に流れているのだそうです。

【写真】奈良井宿の川に架かる木製の大橋

【写真】見事な奈良井の紅葉
私はその夜、上松の110年の古い歴史を誇る民宿に一泊しましたが、家の屋根に木をそいだ板を置き石を載せている姿や、囲炉裏(いろり)の煙が家の中に充満している情景、田舎の懐かしさを感じさせる料理など、旅情をかき立てられる趣が随所に感じられる旅でした。特に朝起きて部屋の中から窓を開けて見える農村地帯の紅葉の姿は、これまた“寝覚”の風景でした。

【写真】民宿の部屋から見える秋の原風景

【写真】御嶽山霊神場の目の覚めるような紅葉
日本全国、どの地方にも四季の移ろいがあります。そして、その移ろいとともに人々は暮らしているのですが、私が見た木曾福島地方の紅葉はまさに「日本一」と称号を付けてもいいほどすてきなものでした。この地方にもやがて厳しい寒さがやって来ます。開田では冬になると氷点下25度にも下がり、ビールなどは冷蔵庫に入れておかないと、部屋に置いているだけで爆発するのだそうです。
そんな冬の寒さだからこそ、春や夏や紅葉の秋がいとおしいのかもしれませんね。この2日間、日本に生まれてよかったと思う幸せを味わいました。