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座布団の贈り物

2008年12月06日

 私が落語ならぬ“落伍”を始めてからそろそろ1年になります。
 そもそもの発端は高知県奈半利町(なはりちょう)に住む坂本利男さんという友人から、失礼な話ですが、薄汚い木材の切れ端を頂いたことでした。何の意味もないと思っていたこの切り株を、90歳になるおやじはきれいに磨き上げてテーブルを作ってくれたのです。
 3人でないと持ち運べないような重いテーブルは、人間牧場の「水平線の家」に運ばれ、最初はテーブルとして使っていましたが、ここで開いた「逆手塾」の折、テーブルの上に座布団を敷いてお話ししたところバカ受けに受けてひらめいたのです。「この150年の年輪を刻む高知県馬路村(うまじむら)産魚梁瀬杉(やなせすぎ)の切り株にあやかり、150話の“創作落伍”をつくって演じよう」と、どだい果たし得ないような大きな夢を膨らませました。
 早速、自分の芸名を「夕日亭大根心」と決め、“創作落伍”の製作に取りかかりました。とりあえず最初の30話ができたので、講座本「夕日徒然草・地の書」を発刊し、これを「木戸銭」と称してワンコイン500円で販売するという算段です。ところが面白いもので、この1年で予定していた1000部はほぼ完売、つまり私は今まで1000人弱もの人の前で“創作落伍”を演じたことになるのです。
 この奇抜なアイデアに協力して国土交通省は「観光カリスマ塾」のご褒美に、捲(めく)りや人型パネルをプレゼントしてくれました。また、伊方町(旧三崎町)に住む旧友・塩崎満雄さんは三崎特産の裂き織の羽織を、社協の白方さんは作務衣を、地域政策研究センターの清水さんは出囃子(でばやし)を、また南海放送のディレクターは扇子やタオルをといった具合に、瞬く間に“落伍”の七つ道具がほとんどそろったのです。

白方さんから送られた作務衣を着て卓話する私
【写真】白方さんから送られた作務衣を着て卓話する私

 先日、わが家にかなり大きい小荷物が届きました。開けてみると、すてきな座布団です。贈り主は宇和島の山本いつみさんからでした。詳しいことは聞いていませんが察するに、この座布団を、高座に見立てた杉の切り株の上に敷いて“落伍”を演じなさいということだと勝手に思い込みました。
 送られてきた座布団はすごく立派で、裏と表が別々の生地でできていて、使い分ければ2回のステージが演じられるのです。座布団は、近々予定されている地元のおばちゃんたちを集めて開く“落伍”公演でお披露目をしたいと思っています。

山本さんから送られてきた座布団の表
【写真】山本さんから送られてきた座布団の表

座布団の裏も使えば、2ステージが可能
【写真】裏も使えば、2ステージが可能

 真打ちになるのは遠い遠い向こうのことと思われますが、間もなく第2集「夕日徒然草・水の書」も発刊の予定です。
 私の計画だと150話完成までにはまだ4年もかかりますが、志は高い方がよく、夢の実現に向けて努力すれば必ずや実現すると思うのです。長州生まれの高杉晋作は「おもしろき こともなき世をおもしろく すみなすものは 心なりけり」[編注:上の句は晋作、下の句は晋作をみとった歌人・野村望東尼(もとに)が結んだと伝えられる]と詠んでいます。殺伐とした世の中だからこそ、笑いのある楽しい人生を過ごしたいものです。“落伍”がそのお役に立てたら望外の幸せです。

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