温熱環境の条件に、「夏広き、冬狭き、のしつらえの間」があります。これは、現在のように空調設備が整っていないころの工夫で、「夏は風通しの良い広い空間で生活をし、冬は熱がこもる狭い部屋で過ごすのがよい」という生活の知恵(工夫)です。
しかし、空調機器の発達で人工的に快適な温熱環境をつくることが可能となりましたので、だんだんと言われなくなったフレーズの一つです。でも、シニア世代の家には、この言葉を復活させるべきだと思っています。自然に帰る、といういわゆるロハス(編注:Lifestyles Of Health And Sustainability)な暮らしの提案です。
「夏広きしつらえ」ではリビング階段や吹き抜けは理想的な空間となりますが、夏の間には広さだけでなく「風通し」が必須です。一般的に風通しとなると窓を意識しますが、ポイントは窓の位置です。風は通り抜けることが必要ですので、入る所と出る所の2カ所以上が必要です。自然の摂理として暖かい空気は上に上がりますので、窓の位置に高低差をつけておくと、通気が良くなります。地窓【写真1】と高窓【写真2】を組み合わせると、自然換気の効率が上がります。特に高窓は、一般的な窓と組み合わせるだけでもその効果を発揮しますので、ぜひ取り入れたいものです。

【写真1】地窓(床の高さから付けられた窓)は、風が床をなでるように通り抜ける

【写真2】高窓は開閉に工夫が必要。電動リモコンで窓の開閉を可能にしている
高窓といえば、「ランマ」も当てはまります。昔の建物では、窓の上に高窓が付いているランマ付きサッシ【写真3】がありました。現在も市販されていますが、サッシ枠やガラスの強度が向上して背の高いサッシが製作されだすと、ランマ付きサッシは徐々に姿を消していっています。理由は、ハイサッシの方がスタイリッシュで、部屋が広くスッキリ見えるからです。でも、あえてここではランマ付きサッシを提案いたします。スタイリッシュもいいですけど、実用的なランマ付きサッシを見直そうではありませんか。

【写真3】ランマ付きサッシ(上部の小さな窓がランマ部分)。この小さな窓が自然換気の“影の実力者”
ランマ付きサッシの実用性とは、それはズバリ、換気力です。ランマは高さが40㎝ほどの窓です。スタイリッシュなハイサッシでは2.2メートルもありますので、大きさでは比べ物になりません。換気量は窓の大きさに比例しますので、ハイサッシの方が断然、換気量はあります。しかしこの換気量は、人が居るとき、または覚醒しているときに確保できる量です。つまり、留守中やお休みされているときには防犯の方を優先するため窓を解放できないので、ハイサッシの換気量はゼロということになります。しかし、ランマは人が出入りできる大きさではないので、留守中にもお休みされているときにも開放が可能なのです。この時点を比較することは重要で、これがランマの実用性なのです。
ランマを開放することで、夏の暑い盛りにお出掛けしていても、室内に熱気が充満するのを防いでくれます。また、お休みされていても、深夜の涼しい風が寝室に下りてくることで寝苦しい夜にもクーラーの要らない生活ができることもあります。
いかがでしょうか? 実用性のある窓を暮らしに取り入れてみませんか?