この問題に関しては余りにも多岐にわたりそして重大な問題であるので、とてもこのスペースだけでは書き尽くせない、と分かってはいるが、ただここ最近、地球のこの温暖化が今までとは違うステージに上った、つまり地球が新しい環境にシフトしつつあると言われ始めているのだ。そこで、今気になることだけでも書いておきたい、と思った次第である。
海面上昇の他、巨大な台風や突発的な大雨の増加、多発する森林火災、熱波、干ばつなど、極端な気象或いはそれが原因と見られる世界からの様々なレポートを目にすると、やはりそういう時代に入ったのか、と我々は自覚をせざるを得ない。身近なことでこれはもう元には戻れないぞ、と気付き始めたのは、飛行機から見た空の色である。あの光化学スモッグが東京の空を覆った1970年代頃、まだ東京、大阪の上空あたりだけがピンクがかった排気ガスにうっすらと覆われていた。ところが徐々に徐々に、今では北海道から沖縄まで日本全土が同じピンクがかったガスで覆われているのだ。このガスすべてがいわゆる温暖化ガスとは違うのだが、文化的生活を送るために吐き出されたガスであり、ほとんどが温暖化を助長するものだ。
京都議定書というのがある。1997年地球環境サミットで大気中の温暖化ガスの増大を抑止することを目的として締約国間で採択された国際条約だ。そして約10年してニコラス・スターンという人が「気候変動の経済学(スターン・レビュー)」という温暖化に関する報告書を2006年10月に発表した。気候変動による経済・社会の混乱は二つの世界大戦や20世紀前半の世界恐慌に匹敵する。温暖化防止の対応策を講じなかった場合、世界は毎年GDP の5~20%以上の経済的損失を被る可能性があるが、対応策を講じた場合は1%程度で済む。最終的に温暖化ガスの年間排出量を現在のレベルから80%以上削減しなければならない。国際的枠組みとして、排出権取引、技術協力体制、森林伐採を減らす対策、適応策が必要、等々。気温上昇による温暖化影響を抑えるため産業革命以前に比べ全球平均温度を2℃以下に抑えることを議論の出発点にしている。20世紀の百年で0.6℃の上昇があったそうだ。
それでももう皆周知のように様々な影響が顕著になっており、海洋大循環の停止など、一度起こったら取り戻せない影響も起こることが危惧されてもいる。更に1970年代以降の上昇率では百年で1℃以上になるだろうと言われている。中国やアジア各国の経済発展がこれに更に拍車をかけるだろう。一番のガス排出国であるアメリカがこの条約に参加していないのも大問題である。百年単位などという遠い問題ではもはやなくなった。これをどれ程、人類にとって、地球にとって、切羽詰まった退っ引きならない状況と考えるだろうか。背中に抱えながらも、我々は文化的生活を続けてゆくのである。