
【写真】お遍路さんらも疲れを癒やす天然岩風呂
上浮穴郡久万高原町の中心部から県道12号に入り、天を突く礫岩峰(れきがんほう)が目に入ると、天然岩風呂「古岩屋温泉」にたどり着く。四国八十八カ所霊場第44番札所「大宝寺」と第45番札所「岩屋寺」の間にあり、巡礼で疲れたお遍路さんを癒やす。
オイルショックの1974年にオープンした国民宿舎「古岩屋荘」内にある。割安な宿泊施設として利用者を伸ばし、温泉も人気が高い。売りは地元の自然石で作られた岩風呂。約3メートルの高さまでせり上がった岩間から湯が流れ落ち、まるで川の上流の露天風呂に入っているよう。湯は滑らかで、開放感のある浴槽も魅力的だ。
圧巻は国指定名勝「古岩屋」の景色。「奇岩」と呼ばれる約20の礫岩峰が林立し、高いもので100メートルを超える。広がる岩肌の灰色が中国の南画を思わせ、秋は紅葉、冬は銀世界が映え、四季折々の風情を演出する。
宿舎の冊子「創業20周年記念」によると、周辺は昔、大河だったという。約4千万年前から礫岩層が浸食され、現在の岩峰などが残ったと考えられている。洞穴の意味の「岩屋」は、石が岩肌から崩れ落ち、空洞ができたことに由来する。
その名を取った岩屋寺は難所として知られ、急な坂道を約20分歩く。境内にも岩峰が覆い立ち、重要文化財の大師堂がある。苦労して登った分、自然と文化が織りなす絶景に息をのむ。
歩き遍路をしている大阪府八尾市の看護師藤原好香さん(65)は「寺も良かったが、温泉も最高。6、7時間歩いた疲れが吹き飛んだ」と喜んでいた。宿舎の大野愛子支配人(62)は「湯は軟らかで、ほかほかした気分になれるはず。癒やしの場として利用してほしい」とPRする。
「四国の軽井沢」と称される久万高原町。冷涼な景勝地と温泉を一度に楽しめるぜいたくなエリアだ。(映像報道部・高田未来)
【メモ】久万高原町の国道33号から県道12号に入り車で約10分。泉質は低張性アルカリ性冷鉱泉。効能は神経痛、筋肉痛など。日帰り入浴は正午~午後8時。入浴料は大人350円、子ども150円、幼児50円。問い合わせは古岩屋荘=電話0892(41)0431。
