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文化的景観―水の苦労を知る!

2008年08月22日

想像を超えた遊子水荷浦の段畑
【抜粋】想像を超えた遊子水荷浦の段畑

 山からすぐさま海。下を見ると、のみ込まれそうな勢いで屏風のようにそそり立つ段畑。宇和島から車で約30分。宇和島市遊子(ゆす)地区に広がる段畑「遊子水荷浦=みずがうら=の段畑」は、「農村景観百選」「四国のみずべ八十八カ所」に選定されるなど、積み上げられた石垣がまるでピラミッドを思わせ、その景観は見る者を圧倒する。この段畑は宇和海に面した標高65~95メートルの半島部にあり、平均こう配約40度の斜面に石を積み、幅約1メートルの畑が幾重にもなっている。栽培作物は、主に11月に植えつけ4月に収穫するジャガイモと、6月に植えつけ10月に収穫するサツマイモで、1枚の畑がとても狭いうえに、すべて手作業である。
 この「遊子水荷浦の段畑」が去年7月に文化庁の「重要文化的景観」に選定された。棚田や段畑などは、地域の伝統的な産業である農業や漁業と、 そして地域の暮らしと密接にかかわり合っている。地域で後継者がいなくなれば自然に消滅する運命にあり、これら地域景観を文化財として保護しようというものである。選定当時は中四国以西では初めてで、全国で3例目であった。この段畑も、石垣の老朽化や後継者不足などで近い将来消えてしまうことになると地元の方たちが立ち上がり、今日の景観を保っている。

遊子水荷浦の段畑

 さて、水荷浦という地名だが、この地区から嫁に行った女性は実家に帰るとき水を天秤棒につるして土産として持ち帰ったというような話も多く残されていて、水が乏しいため水を荷なって運んできた浦ということで「荷」が使われているようになったらしい。

遊子水荷浦の段畑
【抜粋】段畑の背中(段畑を守ろう会のTシャツ)

 今年の夏は梅雨入り・梅雨明けとも早かったこともあり、8月中旬になって太平洋高気圧の勢力がいったん弱まり天気がぐずついたが、水不足を解消するには至らなかった。この最近もまとまった雨らしい雨が降らず、松山市では取水制限が出ており、農家も灌水(かんすい)などの作業に追われている。最近、明け方にはやっと涼しさを感じるようになってきたが、今年は残暑が厳しく、まとまった雨はあまり期待できそうにない。
 遊子水荷浦の段畑を見ると、農道やモノレールがない時代にどうやって畑に水を運んだんだろうかと思うと気が遠くなる。いつの時代も、私たちは水で苦労するようになっているらしい。

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