早春を知らせる花といえば、“菜の花”を一番に挙げねばならない。黄色い花が一面に美しく咲きそろう光景は春を感じさせ壮観である。原産地は地中海沿岸で、中国を経て弥生時代に日本に渡来したらしいが、種子から油が採れるため、全国的に菜の花畑が広がった。花言葉は「快活」。
“菜の花”の開花前線は、黒潮に洗われる房総半島で前年の12月にスタートし、山間部を除く中部地方以西では3月中に、東北では4月後半に咲きだす。
春先に咲く花はいろいろあるのに、3月ごろの春霖(しゅんりん)を「菜種梅雨」と呼ぶのは、この花がこの時期の風物詩であるからだろう。霖(りん)とは長雨のことで、春霖(しゅんりん)は3月から4月にかけて降る長雨をいう。
さて、この“菜の花”はアブラナの花である。アブラナはアブラナ科の2年草で、小松菜や白菜、カブなどの葉菜類の母種とされている。若い茎を食べるときはアブラナやナタネと呼び、花は“菜の花”と呼ぶ。双海(愛媛県伊予市)の海岸沿いなどを通りかかると、斜面の菜の花を見るために道に車があふれ、観光名所になっている。
ところが、この“菜の花”は、ミカン山では大変な雑草である。ミカン山では、なぜ菜の花が大変かというと、黄色い花の元にある根は大根やカブのように大きく、ミカンに施した肥料を吸い、引くと腰を痛めてしまう厄介もの。いつも父は私に「ミカン山の菜の花はこまめに引いておけ、ミカン山では菜の花は厄介な雑草だ。一度増えると手こずるぞ!」と耳にタコができるほど聞かされた。

【写真】菜の花の根はカブである
以前、ミカン山でカブの葉のような植物を見つけ、種が飛んできて自生しているカブだと思って放っていたら、黄色い花が咲いて菜の花だと分かり、慌てて抜いたことがある。わがあらし山の近所のミカン山は菜の花畑化しつつあり、道路沿いやミカン山にドンドン菜の花が増え、ミカン山を侵略している。

【写真】菜の花畑化するミカン山
♪ 菜の花畠に 入日薄れ
♪ 見渡す山の端 霞ふかし
♪ 春風そよふく 空を見れば
♪ 夕月かかりて にほひ淡し
菜の花は、「益と害」の境は紙一重だということを教えてくれる!