桜の開花は、一般的に気温が高いと早まり、気温が低いと遅くなる。今年は、2月の気温は平年より低く、3月上旬の気温はおおむね平年並みで中旬は平年より高く推移している。これからも気温が高い可能性は大きいと予想され、気象台が発表した今年の桜の開花は松山で平年より1日早い3月27日と予想されている。
花といえばこの桜だが、桜の花にちなんだ言葉は、花曇り、花冷え、花吹雪、花見、花見月、花嵐(はなあらし)、花明かり、花雪洞(ぼんぼり)、花の雲、花筏(はないかだ)、花の香、花の露、花朧(おぼろ)、花の陰、花の色、花の粧(よそお)い、と数多い。「花見月」は陰暦3月のことで、「花朧」や「花の雲」は遠くから見た桜の花が霞や雲と見まごうばかりなのをいう。
さて、“桜いよかん”をご存じだろうか?
言うまでもなく伊予柑は愛媛県の特産品であるが、桜が咲いた時期に食べるという伊予柑がある。今治市大西町の柑橘(かんきつ)生産者である大河内結子さんの伊予柑がそれである。

【写真】 「桜いよかん」の果実と大河内結子さん
今では伊予柑は早生系の品種で、1月から2月にかけて出荷され店頭に並ぶ。しかし元々は晩生で、節句の時期ごろに食べられていた。伊予柑の持ち味は独特の豊かな香りと酸味である。
大河内さんは、冬本番の肌寒い時期よりも気温が上がり春の光が感じられる時期が伊予柑の旬であることに着目し、伊予柑を桜の時期においしい果物として、“さわやかな風味”と“早春の香り”を全国に発信し続けている。南海放送ラジオの全国番組でも紹介されたが、樹齢60年の昔ながらの伊予柑の木で採れた「桜いよかん」は、小柄だが、なかなかおいしい。
“桜いよかん”は、世の流行に流されることなく、自分の足元を大切にすることを教えてくれている。地域づくりの世界では、地元に学ぶが原点である。
今の農業は、それを忘れてはいないか?