前回に引き続いて年金やパート収入では不足する生活費をどうするのか、60歳からのマネープランを検討した松山さんのケースをご紹介しましょう。
松山さん夫婦は前回図6で生活費の不足額を確認しました。体力的に余裕のある60代を活動的に過ごしたいと考えている松山さん夫婦ですが、後期高齢期に配慮して(1)~(4)をポイントに考えました。
(1) 67歳時点の金融資産額は、その後の生活費を90万円×20年=1800万円+予備費600万円として、目標額は2400万円
(2) 仮に夫が先立った場合の妻の生活費が不足しない配慮
(3) どちらかが介護状況になった時の介護サービス料金なども考える。そのため60代で旅行や余暇費の予算も取り、介護が必要な状況になればその金額を介護費用に向ける
(4) 介護が必要な時期の住まいは、自宅または高額な一時金が必要でない施設を中心に考える
さらに松山さん夫婦はマネープランを立てるにあたり、上記の項目を実現するために夫婦で下記のA~Cのうち、どれを優先した「ライフプラン」にするか話し合いました。
A 60歳からも嘱託として働くことも可能なので、働いて(在職老齢年金:バックナンバー図3参照)生活費に余裕を持たせる
B 再就職しないで、妻のパート収入、年金(前回図5を参照)や貯蓄、退職金の取り崩しで生活する。70代に資金が不足しないように60代から年間生活費を予定額(400万円)より切り詰めていく
C 再就職しないで、老齢基礎年金の一部繰上げ(バックナンバーの表2を参照)をして60歳から受け取る年金額を多くする。また年間生活費を60代から予定額(400万円)より大幅に切り詰めていく
松山さん夫婦は、60代~70代前半はまだまだ体も元気なので、支出を切り詰めるのではなくアクティブ(仕事もするが休みには夫婦での旅行や親しい友人との会食や、趣味も大切)に生活したいとして、Aを選択しました。
そのため年間支出400万円を減額しない、同時に67歳時点での金融資産2400万円を最低目標に、再就職や資産運用も検討していくということになりました。
退職金や預貯金、年金額はご家庭によって様々です。また働かない選択をしたケースでは基礎年金の一部、または全部繰り上げの方法もあります。けれど長生きしたリスクや高齢期の介護などを想定し、より長期的な視点に立つことも必要です。
老後のマネープランは生活費や年金額だけでなく、金融資産や再就職の可否など家庭の状況をもとに、優先したい事柄などを総合的に検討することが大切です。金融資産の運用については少し先になりますが、またご一緒に考えたいと思います。