63歳のYさん(夫婦2人で金融資産約3000万円)から相談を受け、比較的金利の高い金融機関の定期預金を中心にマネープランを作成しました。Yさんは、10年以内に使わないお金(時間的余裕のあるお金)の一部を投資することも検討しています。
相談では、まずキャシュフロー表を作成して、将来の収入や支出、資産の増減を把握することから始めます。ご自身で大まかにプランを立てたいときは、これから10年間に必要なお金のうち、公的年金だけでは不足する額が1年刻みでどのくらいになるか考えてみましょう(「老後のマネープラン 年金で不足する生活費」(1)(2)を参照)。
Yさんの場合、予備費(入院など、基本生活費だけでは賄えない事態に備えるお金)600万円と、公的年金だけでは不足する日常生活費や余暇費の600万円(60万円×10年分)ほか、10年以内に住宅のリフォームや車の購入のお金が必要なことが分かりました。下のように時系列でお金の必要な時期を把握することができれば、預ける期間も決めやすくなります。
【10年以内に使うお金の合計1500万円の内訳】
予備費 600万円
(夫婦2人分の緊急予備費)
2008年 約60万円
(日常生活費、余暇費)
2009年 約260万円
(日常生活費、余暇費、住宅リフォーム)
2010年 約160万円
(日常生活費、余暇費)
2011年 約60万円
(日常生活費、余暇費、車買い換え費)
2012年 約60万円
(日常生活費、余暇費)
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今から1年間で使うお金なら、流動性を重視してMMF(主に短期金融商品で運用される投資信託:30日以降は手数料なしで換金可能)などに60万円預けて、毎月一定金額を取り崩していけばいいでしょう。
最低1年間使わない260万円は1年定期で。Yさんは比較検討した結果、金利の高いA銀行の1年定期預金(金利0.8%)に預けることにしました。さらに2年先に使う160万円は1年定期より金利の高い2年定期(1.1%)に預け、3年以上先に使うお金420万円(60万円×7年)はB銀行の3年定期(1.2%)に預けることにしました。
また夫婦2人分の予備費600万円はいつ使うか分からないお金ですが、特に困ったことがなければ長く預けることができる資金です。単純に金利が高ければいいと考えると、10年預ければ金利が2%の定期預金もあります。今の低金利の状況がいつまで続くのか、景気などの状況で判断に迷うところです。Yさんは、仮に金利が10年間固定される預金に預けると、その間に市中金利が上がったときも預金金利は上昇しないので、後悔すると気付きました。Yさんは長い固定金利は避けたいと思い、この予備資金については、いざというとき一部を解約し、その場合は元本が守れれば金利は期待しないことを前提に、C銀行の3年定期(1.2%)に預けることを決めました。
1年後に満期になる260万円の定期預金は、より流動性を重視したMMFや6カ月定期に預け替え、住宅リフォームや日常生活の資金として使う予定です。2年後に満期の160万円についても同じようにするつもりです。また3年後に満期になる420万円と利息は、その後1年間で使うお金と、さらに先で使うお金とに分けて、同じようにその時の金利状況を判断しながら預け替えていく予定です。
このように満期の時期を、使う時期に合わせて決めていくと、10年間は毎年満期を迎えることができ、確実でローコストの“自分年金”をつくることができます。今の金利状況では望めませんが、仮にバブル期のような金利の高い状況になれば、預けるサイクルを長めにして、当分使わないお金については長く金利が固定できる定額貯金なども検討するといいですね。
今回事例にとった定期預金の金利は2008年5月10日現在で、比較的金利の高い複数の銀行のものです。ご自身の利便性や、預金保険(金融機関が破たんした場合に預金者の保護などを図る制度。定期預金などは預金者1人当たり、1金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までとその利息が保護される)で保障されている1000万円を上限に金融機関を選択することも念頭に置き、預け先を考えていくといいでしょう。