個別株式投資は、債券投資や投資信託と比べて大きな収益が見込める半面、変動も大きくなりがちです。
私も自分の投資スタイルを決めていなかった時期に、エスカレーターに乗ったような経験をしたことがあります。ITバブル以前に買ったS社のミニ株(単元株の10分の1から購入できる株式)約44万円相当は2000年に入り急上昇、毎日のように連騰していったのです。ストップ高をつけるのを見ていると、企業の成長力にひかれ長期保有しようと思っていた私も、なんだか落ち着かない日が続きました。このまま持つべきかどうか迷いながら、買い値から10倍に上昇したところで半分を約220万円で売却しました。
残った半分の株式は、2000年春のITバブル崩壊で下がる一方。下がりかけた時期に売却しても十分利益があるのに、「S社株、まだ上がる!」なんて記事に心は乱れ、自分流のルールも持たず、気持ちは定まりません。そのうちS社株式は買い値を下回り、何年も見たくない状況が続きました。
ミニ株で買ったS社株の残った株式は、株式分割で保有株数は増えていましたが、結局のところ2006年に売却。最初に売却した値(約220万円)には遠く及ばず、買い値よりおおよそ2倍強の金額になったところでS社株保有は終わりにしました。
S社株式はトータルでいうとおおよそ6倍の資産になったわけですが、長く保有した方がいいという思い込みは見事当てはまらなかったわけです。上がりすぎたものは元に戻る、いえ、さらなる下落もあることを実感しました。市場がいつどうなるかは、予想がつかないのですね。
そんな経験もしながら、今でも個別株式は、老後資金に関係のないお金で、(企業の成長性を買うというより)割安の銘柄を市場が下がったときに拾う、買うときに売却の株価を決めて実行するというスタイルで続けています。
日本株式の下がりがきつい昨年夏のサブプライム・ショック以降でも、安く買って高く売れば利益は出ます。個別株式投資は、自分なりのルールを積み上げた人に向いているのですが、自分の心のコントロールと資金管理は重要だと思います。
それとは別にわが家では老後の資産形成という意味で、個別株式ではなく、ETF(上場投資信託)や投資信託で、国内だけでなく広く先進国や新興国株式などに配分して、また購入タイミングも分散しています(10年以上先に使う資金として)。
「リスクを抑えるために分散投資」のところで違った動きのものを組み合わせる効果についてお話しましたが、株式市場が厳しい状況のときに値上がりする資産、例えば金(現物、ETF)コモディティファンド、海外のマネージド・フューチャーズ系のヘッジファンドなども資産のバランスをとりながら保有している状況です。
投資信託なら、自分では情報が把握しにくい海外資産への長期的投資も可能ですが、コスト負担にも注意が必要です(販売手数料や信託報酬の高い投資信託が優れた運用をしているわけではありません。高コストの投資信託は、コスト分だけ市場平均に負けているという説もありますので)。
例えば、外国債券は扱いの多い大手証券で、個別株式は販売手数料が安いネット証券で、というように、用途に合った金融機関の使い分けを考えてみるのも一案でしょう。